看護師として臨床で働いている中で、「酸素供給量(DO2)」という言葉はあまり馴染みがないと思いま。ですが、意外に看護師として働いて看護を行う上では、大切な考え方の一つになります。
例えば、日頃からこんな疑問はないですか?
・なんで酸素化って大切なの?
・なぜ血圧って大切なの?
確かにじゃあ説明して!って言われると難しいよね。
じゃあ、一緒に学びを深めていこう!!
・酸素供給量とは?
・酸素供給量の考え方を看護へ活かす方法
【結論】酸素供給量(DO2)とは?
【結論】酸素供給量(DO2)とは?
→1分間に組織に供給される酸素の量
酸素供給量とは、1分間に組織に供給される酸素の量になります。キャンタマが酸素供給量をイメージすると上記のような図で表されるかなと思います。
ちなみに赤くて漕いでいるのは「ヘモグロビン」です。
酸素供給量は主に下記によって決定されます。
・心拍出量(CO)
・ヘモグロビン値(Hb)
・酸素化(動脈血酸素飽和度:SaO2)
いやいや、、、。
COとかSaO2って何だっけ?
用語の整理をしておこう!!
【用語の整理】
心拍出量(CO)
→1分間に心臓から全身に送り出される血液の量
動脈血酸素飽和度(SaO2)
→動脈中の総ヘモグロビンのうち酸素と結合したヘモグロビンの割合
酸素供給量は、心拍出量(CO)、ヘモグロビン値(Hb)、酸素化(動脈血酸素飽和度:SaO2)で決定されます。そして、酸素供給量を求める公式はこのようになります。
酸素供給量(DO2)を求める公式
→心拍出量(CO)×CaO2×10
いやいや、、、。
またまた知らない用語出てきたけど、、、。
CaO2ってなに?
ごめんごめん、、、。
用語の整理をしておこう!!
【用語の整理】
動脈血酸素含量(CaO2)
→血液100ml中に含まれる酸素の量
動脈血酸素飽和度(SaO2)を求める公式
→(1.34×Hb(g/dl)×SaO2)+(0.003×PaO2)
動脈血酸素含量(CaO2)は血液100ml中に含まれる酸素の量で、血液中にどのくらいの酸素が含まれているかを表します。それを求めるには、上記のような複雑な公式があります。
(1.34×Hb(g/dl)×SaO2)は、ヘモグロビンに結合した酸素の量です。そして、(0.003×PaO2)は、血漿に溶解した酸素の量を表しています。
ふむふむ。
血漿に溶けてる量は限りなく少ないのね。
キャン子その通り!!
いかにヘモグロビンと酸素化が大事かがよくわかるね!
では、この図で考えると、、、。
酸素供給量(DO2)は1分間に組織に供給される酸素の量でありそれに対して大切なのは、心拍出量(CO)・ヘモグロビン値(Hb)・酸素化(動脈血酸素飽和度:SaO2)です。
【こんな時は?】
<酸素化が悪い>
→ヘモグロビンへうまく酸素を渡せない
<心臓が血液を送り出す量が少ない>
→酸素を臓器に届けられない
<ヘモグロビンが少ない>
→酸素を運ぶ人員が少なく効率よく酸素を臓器に運べない
これらの要因のどれか一つでも欠けてしまうと、他に負担がかり、うまく臓器に酸素を供給できなくなります。
なので、最初の疑問に戻りますが、「血圧や酸素化がなぜ大切?」の答えは、
・血圧の低下≒心拍出量(CO)の低下
・酸素化低下=酸素化(動脈血酸素飽和度:SaO2)の低下
により、酸素供給量(DO2)が低下するため、血圧や酸素化は大切です。
なるほどね。
だから酸素化や血圧って大切なんだ!
でも、じゃあ組織に酸素が渡せなくなったらどうなるの?
じゃあ、ショックの定義について少し振り返ろう!!
ショックの定義
生体に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果,重要臓器の血流が維持できなくなり,細胞の代謝障害や臓器障害が起こり,生命の危機にいたる急性の症候群。収縮期血圧90mmHg以下の低下を指標とすることが多い。典型的には交感神経系の緊張により,頻脈,顔面蒼白,冷汗などの症状をともなう。
引用元:日本救急医学会 https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0823.html
ショックの定義は、日本救急医学会で上記のように定義されています。
細胞が代謝を行うためには酸素が必要になります。臓器に血流が維持できなくなったり、酸素を臓器に供給できなくなるとショックの状態となります。
ショックを考える上では、酸素供給量(DO2)の考え方は大切かと思います。
ショックを考える上で酸素供給量(DO2)が大切なのは分かったけど、
私たち看護師が酸素供給量(DO2)をどう看護に活かせばいいの?
そうだね!!
じゃあ、状況に合わせて看護を一緒に考えていこう!!
酸素供給量の考え方を看護へ活かす方法
【結論】酸素供給量の考え方を看護へ活かす方法
→リスク評価
→予測し最良の看護を考える
様々な看護を行う上で大切になるのが、患者さんにその看護を行うことが「適切なタイミングなのか?」「適切な看護なのか?」というリスク評価だと思います。
そして、看護を提供した際に「もしかしたらこうなる事が起こるかも(予測)」という予測をしておくことだと思います。予測していれば、有害事象が起きた際の対応スピードも変わると思います。そして、患者さんの観察の視点も変わるかも知れません。常に有害事象が起こった時の対応策を考えておくことも大切な看護の一部かなと思います。
ふむふむ、、、。
酸素供給量の考え方は、リスク評価、予測し最良の看護を考えるために使えばいいのね。
じゃあ、実際にどんな状況で使えるの?
じゃあ、発熱時・呼吸不全時・離床時について考えていよう
!
発熱時
【発熱時】
①発熱に伴い、各臓器における酸素消費量が増大
②消費量増大に伴い【肺】【心臓】には負担が増大
発熱時にはシバリングなどでもそうですが、酸素消費量が増大します。体では、酸素消費量が増大すると多くの酸素を臓器に届ける必要があります。
結果として、肺では多くの酸素を取り込まなくてはいけなくなり、心臓は酸素を全身の臓器に届けるため頑張ってしまいます。
なるほど、、、。
呼吸機能や心機能が低い患者では、発熱だけで負担が大きいんだ!!
そうだね!!
もしかしたら、呼吸不全や心不全に移行する可能性があるかも、、、。
って考える事ができれば、患者を観察する視点も変わるかも知れないし急変時の対応も迅速にできるかもね!!
看護師としては、急変対応は大切です。ですが、急変ってなかなか慣れない方も多いのではないでしょうか?
もし、急変を未然に防ぐことができれば、患者さんにとっても、それにこしたことはありません。ですが、それには患者さんを適切に評価していく必要があります。下記の記事でご紹介していますので、よろしければ参考にしていただければ幸いです。
呼吸不全時
【呼吸不全時】
①肺での酸素化が低下
②ヘモグロビンに渡す酸素量が低下
③酸素量が少ないヘモグロビンを一生懸命臓器に送り出す必要がある
④心臓への負担が増加
呼吸不全時は、酸素を運ぶヘモグロビンに対して渡す酸素量が低下します。それにより、ヘモグロビンは酸素を十分に持って運ぶことができなくなります。酸素化が低下してない時に比べて、十分な酸素を持てないヘモグロビンをいつもより多く臓器に届ける必要があります。
結果として、心臓に負担がかかり心機能が低下している患者さんなどは、心不全へ移行する可能性もあるので、予測して観察する事で患者さんの異常の早期発見につながります。
なるほどね、、、。
もしかして「貧血などヘモグロビンが少ない」患者さんでも運び屋が少ないから心臓に負担がかかったりするのかな?
素晴らしね!
ヘモグロビンが少ない=運び屋が少ない時は、心臓が頑張らないといけないから負担がかかるよね。
ですが、そもそもなぜその患者さんの酸素化が低下したかを考えて看護介入していく必要があります。低酸素血症の要因に関しては、下記の記事で説明していますので、参考にしていただければ幸いです。
離床時
【離床時】
①離床に伴い酸素消費量は増大
②消費量増大に伴い【肺】【心臓】には負担が増大
発熱と同様に、離床に伴い酸素消費量は増大します。肺機能や心機能が悪い患者さんが急激に酸素消費量が増大したことに耐えることができなければ、呼吸不全や心不全へいこうする可能性があります。
また、発熱があれば発熱+離床により酸素消費量はさらに増大しています。離床のメリットとデメリットを考慮して、適切なタイミングなのか、適切な看護なのかを立ち止まり考える際に酸素供給量の考え方は大切だと思います。
まとめ
今回は、普段臨床ではあまり聞きなれない「酸素供給量(DO2)」についてご紹介させていただきました。
ちょっとした豆知識ですが、日々の看護に応用することができれば、その時により良い看護は何かを考えることができるのではないかと思います。
記事の最初の方では小難しい数式等をご紹介していますが、大切なことは「酸素供給量の考え方をどう看護に生かすか」だと思います。
今後も臨床で役立つちょっとした知識をご紹介していこうと思います。
キャンタマの「看護師の豆知識」を今後もよろしくお願い致します。