看護師として働く中で、スキルアップの一つとして認定看護師を取得して日々の臨床で認定看護師の役割である「実戦・指導・相談」を行い患者さんの看護や、臨床看護師の育成に勤しんでいると思います。
そんな認定看護師の制度には、認定看護師の質を維持するために、認定看護師取得後に5年ごとに更新制度があります。
そんな方の最初の障壁になるのが、「認定看護師更新審査」です。
その更新制度は難しいの?
キャンタマ自身は、初めての経験で合格するためのポイントもよくわからないから難しいというよりは、大変だったって印象かな。
更新審査は、認定審査のような筆記試験があるわけではないので、合格基準を満たしていれば合格できると思います。
しかし、初めての更新審査では「実戦報告書の記載」や「研究実績等申告表作成」には難渋すると思います。
今回の記事では、認定看護師更新審査の概要や、私自身がどのように乗り越えたかをポイントを含めて皆さんにお伝えできればと思います。
・認定看護師更新審査の概要
・認定看護師更新審査「実戦報告書のポイント!」
・認定看護師更新審査「研修実績および研究実績等申告表作成のポイント!」
【結論】認定看護師更新審査のポイント!
- 実戦報告書のポイント!
-
- 実戦報告書の書式を変更しない
- 作成段階での文字数を確認
- 薬剤名や製品名等は商品名ではなく一般名
- 略語使用時は初出時に正式名称
- 「期待される能力」を踏まえる
- 審査員からのコメントを参考にする
- 研修実績および研究実績等申告表作成のポイント!
-
- I群(実践活動等)とII群(学会・研究会発表等)ともに各群10点以上
- 自己研鑽の実績の点数の合計をギリギリで申請しない
- 申請該当項目に迷いがある際は申請しない
- 証明資料番号を間違えないようにする
- 「必要記載事項」欄の番号とアンダーラインを忘れない
「実戦報告書のポイント!」と「研修実績および研究実績等申告表作成のポイント!」は上記のようになります。
このポイントは何を参考に作成したの?
このポイントは、初めて更新審査を受験する人が迷うであろう点を踏まえて、更新審査に合格したキャンタマが気を付けた点をポイントとして挙げてるよ!
1つ1つの項目については、記事の後半でお伝えするとして、まずは認定看護師や更新審査の概要をお伝えします。
認定看護師とは?
特定の看護分野における熟練した看護技術及び知識を用いて、あらゆる場で看護を必要とする対象に、水準の高い看護実践のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図ることを目的
引用:日本看護協会ホームページ
認定看護師には、A課程とB課程がありA課程認定看護師教育過程は2026年で終了となり、今後は特定行為が含まれているB課程認定看護師過程へ切り替わっていきます。
A課程とB課程では時間数は違いますが、専門領域に関して600〜800時間程度学び取得する資格になります。入試試験等もあるため準備期間を考えると、取得までに時間がかかりますが学びは多いと思います。
認定看護師を目指している方や取得までにかかるお金事情、そして、クリティカル領域の認定看護師を目指している方の受験に役立つ書籍等を下記の記事でご紹介しています。
認定看護師になるための実際を知りたい方は、下記の記事をご参照くだい。
更新審査
認定看護師のレベル保持のため、認定更新制を施行しています。認定後5年ごとに更新審査を実施
日本看護協会ホームページより引用
認定看護師における更新審査は、認定看護師のレベル保持のために実施され、「実戦報告書の記載」や「研究実績等申告表作成」において、認定看護師取得後の各自の「認定看護師としての質」が評価されます。
認定審査である一定の質が担保されている認定看護師の更新審査です。私自身の感覚では、決して落とす審査ではなく認定看護師取得後に、自己研鑽を積み認定看護師としての役割を果たしていれば合格できる審査だと感じています。
ただし、書類不備等があれば1発アウトですが、、、。
更新審査申請資格
- 認定看護師であること
- 過去5年間に以下の看護実践および自己研鑽の実績があること
- 看護実践時間:2000時間以上
- 自己研鑽:50点以上
更新審査の申請資格は、上記になります。
認定看護師である事は当たり前ですが、看護実践時間として2000時間以上や、自己研鑽として50点以上が必要になります。
看護実践時間として2000時間以上は、認定看護師取得後に常勤として勤務していれば間違いなく2000時間以上は働いているので、条件を達成することができると思います。
しかし、申請者の中には病気や育休などで2000時間に満たない方もいると思います。その様な方々には、延長審査という制度があります。詳細は下記より日本看護協会のホームページをご参照下さい。
また、自己研鑽として50点以上の条件においては、認定看護師取得後に看護学校の講師や院内ラダー、様々な学会に参加することで50点は達成することができますが、各項目において点数が異なります。
詳細は参考資料:認定看護師 研修実績及び研究実績等申告表項目一覧をご参照下さい。
申請手続き
『資格認定制度 審査・申請システム』 にアクセスして、氏名や住所、メールアドレスなどが間違っていないか確認。
『資格認定制度 審査・申請システム』 にアクセスして、メインメニューから「申請メニュー」から「認定更新」を選択。必要事項を入力し「申請する」をクリック。
『資格認定制度 審査・申請システム』 にアクセスして、メインメニューから「申請状況一覧」の「認定看護師」をクリック。指定された口座に審査料(¥30,800円)を振り込む。
『資格認定制度 審査・申請システム』→「申請状況一覧」→「認定看護師」から「実践報告書」を作成・提出する。また、「研修実績および研究業績等申告表」を作成・提出する
「認定更新審査審査書類確認用紙」に沿って自身に必要な書類と、「研修実績および研究業績等申告表」で申告を証明する書類を「書類送付表」を添付して送付する。
やること多いし複雑、、、。
確かにやることは多いね。更新審査の手引きで図入りで解説されているから、詳細は日本看護協会の「認定看護師認定更新の手引き」を参考にして下さい。
認定看護師(CN)認定更新審査 2017年以降の審査方法の変更点
【1回目(5年目)の更新申請者】
・これまで3種類(実践・指導・相談)の提出を求めていた実践報告書 について、1種類(実践)のみの提出とする。
【2回目(10年目)以降更新申請者】
・実践報告書の提出を不要とする。
実践報告書は3種類(実践・指導・相談)の提出でしたが、2017年からは1種類(実践)のみの提出となり、2回目(10年目)以降更新申請者は実践報告書の提出を不要となりました。
実践報告書の提出数も減ったし、1回目のクリアーすれば楽勝じゃない!?
その分、1回目の審査が厳しくなる可能性もあると思うよ。
そう思ってたらきっと不合格になるよ、、、。
認定看護師更新審査のポイント!
実践報告書のポイント!
- 実戦報告書の書式を変更しない
- 作成段階での文字数を確認
- 薬剤名や製品名等は商品名ではなく一般名
- 略語使用時は初出時に正式名称
- 「期待される能力」を踏まえる
- 審査員からのコメントを参考にする
実践報告書のポイントは上記6点です。
「認定看護師認定更新の手引き」に留意点等の記載はありますが、実際に実践報告書を記載していく中で、不安や迷った点がありました。
実際にどの様な事に気を付けて記載をしたか、ポイントを踏まえて皆さんにお伝えしていきたいと思います。
施設に同分野の認定看護師の先輩がいたとしても、内容は参考までにして、実践報告書の盗用等には十分にご注意下さい。
実戦報告書の書式を変更しない
実際の記載した実践報告書をブログ上に載せることはできないので、書式だけになります。
上記のような書式で記載しましたが、各分野によっては指定された書式があるかもしれません。
十分に自分の分野の留意点を「認定看護師認定更新の手引き」を参考にしてご確認下さい。
作成段階での文字数を確認
実践報告書はオンラインで提出するため、実際にWordで下書きをしてオンライン提出を行いました。
実践報告書では、文字数制限(1,400文字以上1,700文字以内)があります。上記の画像のようにWordでは、左下に文字数が表示されていますが、これは実際の文字数とは異なります。
下書きの段階で正確な文字数で記載しておけば、二度手間にならなくておすすめです。
実際に私自身もWordで左下の文字数を参考に下書きしてオンライン提出しようとしたら、文字数オーバーしていました。
正確な文字数カウントの方法は、下記のブログで説明してくれていますので、ご参照下さい。
薬剤名や製品名等は商品名ではなく一般名
臨床ではよく商品名を使用しますが、実践報告書においては一般名で記載することが指定されています。
上記は臨床でよく使用する「プレセデックス」ですが、一般名は「デクスメデトミジン塩酸塩注射液」になります。
ついつい商品名を使ってしまいがちですが、実践報告書に関しては下書きの段階で一般名になっているかを確認していきましょう。
下書きの段階で一般名にしておかないと、一般名は文字数が多いので、商品名から一般名に修正した際に文字数オーバーになり二度手間になりました。
略語使用時は初出時に正式名称
集中治療室を略す→集中治療室(以下、ICU)
文字数を減らすためには、実践報告書に何度も使用する単語は略す事が必要です。その際は、初出時に上記の様に記載する事が必要です。
「期待される能力」を踏まえる
各分野において「期待される能力」が日本看護協会より定められており、クリティカル領域に該当する「救急看護認定看護師」や「集中ケア認定看護師」は上記の様な役割が期待されています。
実践報告書を記載する際は、「期待される能力」を踏まえながら症例を選定して記載していくことが大切です。
各分野の「期待される能力」は「認定看護師認定更新の手引き」を参考にして下さい。
認定更新審査が近づいてきたら、再度「期待される能力」を意識して実践すると自然と対象の症例が見つかると思います。
審査員からのコメントを参考にする
資格認定制度、審査申請システム→お知らせ→新着以外も表示→当分野の審査員からのコメント
上記の手順で、昨年度の認定更新審査の審査員からコメントが情報として公開されています。
私自身は、先輩から「審査員からのコメント」について情報が開示されていることを聞いていたので参考にすることができました。しかし、私自身も先輩に教えてもらうまでは知らなかったので、知っていると実践報告書を記載する際に役立つと思います。
当該分野の情報しか見ることができませんが、実践報告書を記載するにあたっては非常に参考になるコメントです!
研修実績および研究実績等申告表作成のポイント!
- I群(実践活動等)とII群(学会・研究会発表等)ともに各群10点以上
- 自己研鑽の実績の点数の合計をギリギリで申請しない
- 申請該当項目に迷いがある際は申請しない
- 証明資料番号を間違えないようにする
- 「必要記載事項」欄の番号とアンダーラインを忘れない
研修実績および研究実績等申告表作成のポイントは、上記5点です。
「認定看護師認定更新の手引き」においてもわかりやすく注意点等が記載されています。
実際に申請する中で、迷ったことや心配になった点を改めてお伝えしていきます。
認定看護師になったら、依頼文や参加証明書の管理をしっかり行っておくのが大切です!
I群(実践活動等)とII群(学会・研究会発表等)ともに各群10点以上
「キャンタマの申請比率」
I群(実践活動等):70点
II群(学会・研究会発表等):19点
私自身は、研究等を行うのが苦手なタイプなのでII群(学会・研究会発表等)は19点で申請を行いました。
申請比率としては、バランスが悪いですが、I群(実践活動等)とII群(学会・研究会発表等)ともに各群10点以上をクリアーしています。
「認定看護師認定更新の手引き」の留意事項において、「I群内・II群内で、1つの項目に偏らないよう申告することが望ましい」とありましたが、私自身は上記の申請比率で合格することができました。
認定看護師さんってアドバイザーだけで何にもやらないのに、よく学会の共同研究者になっているけど、II群(学会・研究会発表等)のポイント稼ぎのためかもね!
うん。
そういう変な分析いらないから(鋭い分析だな、、、)。
自己研鑽の実績の点数の合計をギリギリで申請しない
申告する自己研鑽の実績の点数の合計は50点以上100点以内とする。100点を超えて提出した場合は書類不備とする。
引用:日本看護協会「「認定看護師認定更新の手引き」」
「キャンタマの申請比率」
I群(実践活動等):70点
II群(学会・研究会発表等):19点
研修実績および研究実績は、I群(実践活動等)とII群(学会・研究会発表等)ともに各群10点以上とされ、申告する自己研鑽の実績の点数の合計は50点以上100点以内とされています。
研修実績および研究実績は、項目によって点数が定められています。
自分自身が想定した項目で50点ギリギリでの申告や、アピールするために100点ギリギリで申告すると、想定していた項目ではないと審査する方が判断すると点数が変化してきます。
そのため、申告する自己研鑽の実績の点数の合計は50点以上100点以内において何か間違いがあってもいいように、余裕をもった点数で申請するのが良いと思います。
申請該当項目に迷いがある際は申請しない
I群(実践活動等)とII群(学会・研究会発表等)には様々な項目に分かれて点数も細分化されています。
詳細は、認定看護師 研修実績及び研究実績等申告表項目一覧を参照下さい。この研修実績及び研究実績等申告表の「内容」に該当するかしないか判断に迷う際は申請しないほうが良いと思います。
自分自身では該当すると思っていても、判断するのは審査会の方々です。審査会が「該当しない」と判断すればその申請した項目の点数は除外されてしまい、自分自身が想定していた点数が変化してしまいます。
それにより書類不備で不合格となる可能性があるので、申請該当項目に迷いがある際は申請しないほうが良いと思います。
認定看護師取得後は、更新のことも考えて自分自身がどの程度点数があるかを常に把握しておくことが大切です。
証明資料番号を間違えないようにする
オンラインでの「証明資料番号」と証明資料の番号を間違わないように留意
研修実績および研究実績等申告表作成する過程で、「証明資料番号」が決められます。
申請項目の証明資料に相違が無いように、証明番号を右上に「証明資料番号」を記載する必要がありますが、これを間違えた番号を記入すると書類不備で不合格となる可能性があります。
最終確認で、申請項目の証明資料に相違が無いか、「証明資料番号」に間違いはないかを確実に確認することが大切です。
「必要記載事項」欄の番号とアンダーラインを忘れない
認定看護師 研修実績及び研究実績等申告表項目一覧において、各項目には「必要記載事項」という項目があります。
「認定看護師認定更新の手引き」の見本がありますが、依頼文に「必要記載事項」に該当箇所に番号とアンダーラインを記入する必要があります。
私自身が迷ったのは、II群(学会・研究会発表等)における執筆に関する「必要記載事項」の該当箇所に番号とアンダーラインです。
私自身は、執筆依頼文の該当箇所に番号とアンダーラインだと思っていたのですが、先輩に確認をするとそうではないようでした。私自身がおこなったことは、
- ①掲載雑誌名:雑誌の表紙を印刷し雑誌名にライン
- ②出版年月:雑誌の出版年月日がわかる箇所を印刷しライン
- ③題名:目次を印刷し執筆した題名
- ④本人氏名:目次を印刷し執筆した著者(本人氏名)
- ⑤内容(概要のわかる部分):執筆した本文の概要がわかる箇所
私自身はこれで申請を行い合格することができました。
まとめ
今回の記事では、認定看護師取得後に5年ごとに訪れる「認定看護師更新審査」についてまとめました。
初回の「認定看護師更新審査」はわからないことだらけで、多くの方が不安になると思います。
その中で、「実戦報告書のポイント!」と「研修実績および研究実績等申告表作成のポイント!」を自分自身の体験をもとに不安やわかりにくいであろうポイントを記事としてまとめてみました。
この記事で、初めての「認定看護師更新審査」を受ける認定看護師の皆さんの不安が少しでも解決できれば幸いです。
認定看護師として忙しい日々が続きますが、お互い頑張りましょう。