なんか昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換したら血圧下がったけどなんで?
昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換が怖いんだけど、、、。
臨床で看護師をしていると、多くの薬剤を管理して患者さんを看る機会があると思います。そんな薬剤を管理する中で、不安や緊張する場面が、昇圧剤(カテコラミン)のシリンジ交換だと思います。
全ての薬剤シリンジ交換は注意しないといけませんが、中でも昇圧剤(カテコラミン)の交換は、血圧が下がってしまう可能性があり不安ですよね。
特に、新人看護師時代はそんな患者さんのバイタルの変化で、恐怖心を感じたり、疑問に感じる事があると思います。この記事では、こんな疑問を解決出来る様に記事にまとめています。
・昇圧剤(カテコラミン)とは?
・昇圧剤(カテコラミン)にはどんな種類がある?
・昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換時の血圧低下の要因は?
・昇圧剤(カテコラミン)シリンジの交換方法は?
・昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換方法のポイント
昇圧剤(カテコラミン)のシリンジ交換時に「なぜ血圧が下がる?」のかを理解することができれば、不安の軽減や対策を立てることができると思います。皆さんの参考になれば幸いです。
この記事では、運営者(キャンタマ)の施設における昇圧剤(カテコラミン)シリンジの交換方法や、経験をもとに作成しています。自施設において昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換方法のマニュアル等がある際は、そちらを遵守していただければ幸いです。
【結論】昇圧剤(カテコラミン)シリンジの交換方法とポイント!
ここでは、「1台ON/OFF法」と「2台同量法」をご紹介しています。そのほかにも、昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換方法には、「プライミング法」「ウォームアップ法」「2台倍量法」などの交換方法があります。これに関するご紹介や詳細の交換方法は、下記の項目でお伝えします。
・昇圧剤(カテコラミン)の種類や特徴を理解する
・昇圧剤(カテコラミン)シリンジの交換方法時の血圧低下の要因を理解する
昇圧剤(カテコラミン)には様々な種類があります。その中で、その一つ一つの薬剤の作用や特徴を理解することは大切なことだと思います。そして、昇圧剤(カテコラミン)シリンジを交換する際に、「なぜ血圧が下がる?」のかを理解することも大切だと思います。
また、その患者さんにどのくらいの昇圧剤(カテコラミン)が投与されているのかも考える必要があります。それには、以前の記事で紹介しているγ(ガンマ)計算を理解する必要があります。これに関しては、下記の記事をご参照ください。
昇圧剤(カテコラミン)とは?
・血圧が低下した際に用いる血管作動薬であり、強心作用や血管収縮作用により血圧を上昇させる薬剤である。
急性期においてはよく使用する機会が多い薬剤の一つが昇圧剤(カテコラミン)です。血圧が低下した際に使用して循環を維持する薬剤です。
昇圧剤(カテコラミン)の投与によって血圧を維持しますが、患者さんによって血圧の変化には差があり、微量で大きく血圧が変化することもあるため、多くの場合はシリンジポンプを使用して厳重に薬剤管理する必要があります。
そうなんだよね、、、。
少量でもすぐに血圧が上がるし、怖い薬剤の1つだよね。
そうだよね。だからシリンジポンプの操作の時などは神経を使うよね。
でもそもそも、血圧の決定因子に関してキャン子覚えてる。
もちろん!!
覚えていない、、、。
、、、。
じゃあ、振り返ろう!
血圧の決定因子
<血圧の決定因子>
血圧(水の勢い)=心拍出量(蛇口の開け閉め)×末梢血管抵抗(ホースを太さ)
血圧の決定因子は、心拍出量(蛇口の開け閉め)と末梢血管抵抗(ホースを太さ)によって規定されます。
昇圧剤には様々な種類があり、心拍出量(蛇口の開け閉め)=強心作用で血圧を上げる薬剤や、末梢血管抵抗(ホースを太さ)=血管収縮作用に作用して血圧を上げる薬剤、またはその両方に作用して血圧を上げる薬剤があります。
次の項目では、昇圧剤(カテコラミン)にはどのような種類があるのかを説明していきます。また、血圧の決定因子の詳細や、ショックに関してもっと知りたいと思う方は、下記の記事をご参照ください。
なんとなく思い出した!そういえば前回やったよね!
昇圧剤(カテコラミン)やショックを理解するには必要な知識だよね。
昇圧剤(カテコラミン)の種類
昇圧剤(カテコラミン)は臨床において患者さんの状況によって、様々な昇圧剤を使い分けます。
昇圧剤(カテコラミン)には、α作用とβ作用と呼ばれる作用があります。血圧を上げたい時に血圧の決定因子における、心拍出量(蛇口の開け閉め)に作用させるβ作用を選択するのか、末梢血管抵抗(ホースを太さ)に作用させるα作用を選択するのかで昇圧剤(カテコラミン)を使い分けます。
α作用:末梢血管収縮
β1作用:心収縮力、心拍数増加
β2作用:血管、気管支平滑筋拡張
また、臨床でよく目にする下記の昇圧剤(カテコラミン)に関して、どのような特徴があるかをご紹介します。
・ドパミン(イノバン)
・ドブタミン(ドブポン)
・ノルアドレナリン
・アドレナリン(ボスミン)
各昇圧剤(カテコラミン)には、様々な特徴があります。そして、血圧を上昇させる機序として、血圧の決定因子における心拍出量(蛇口の開け閉め)に働きかけ血圧を上げるのか、末梢血管抵抗(ホースを太さ)に働き血圧を上げるかの違いがあります。
普段から、なぜその患者さんが血圧が低下しているのかを考え、使用薬剤の作用を理解しながら看護をすると、新たな患者さんの症状や変化を捉えることができるかもしれません。
なるほどね!
アドレナリンの交換の時はこっちの心臓がドキドキだわ!
その通りだね!
では、なぜシリンジ交換時に血圧が低下するかを理解しよう。
昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換時の血圧低下の要因
昇圧剤(カテコラミン)を交換する際は、交換に手間取ってしまえば低下する事はわかりやすいですが、機械的な要因によっても血圧が低下することがあります。
機械自体も完璧ではなく、機械的隙間やスタートアップカーブ、トランペットカーブにより血圧が低下することがあります。特に昇圧剤の濃度が高けれはそのリスクは非常に高くなります。
今回は、機械的隙間やスタートアップカーブ、トランペットカーブについてご紹介します。
機械的隙間
要因:シリンジのスリットや押し子を固定するクラッチの隙間
解決策:患者に接続する前に早送り
シリンジポンプにシリンジをセッテイングすると、シリンジのスリットや押し子を固定するクラッチ部分には隙間が発生します。薬剤投与を開始をして薬剤が投与され始めても、その隙間が埋まるまで患者さんの体には薬液が入らず交換時に血圧が低下します。
解決策としては、患者さんに接続する前に早送りすることで、この隙間がなくなり適切な薬剤投与を行うことができます。
スタートアップカーブとトランペットカーブ
要因:投与流量の不安定と流量誤差
解決策:投与流量の安定化を待つ
スタートアップカーブ(投与流量の不安定)とトランペットカーブ(流量誤差)という要因により、シリンジポンプ交換初期には、流量が安定化するまで血圧が低下する要因となります。
解決策としては、機械側の要因なので、投与流量の安定化を待つことしか術がありません。薬剤投与量によって、安定化するまでの時間には差があり、一般的には流量が多いほど安定化までの時間は短くなります。
なるほど!機械も完璧ではないということね!
昇圧剤(カテコラミン)交換後はしばらくベッドサイドでモニタリングする事が大切ってことね!
そうだね!
交換方法にもよりますが、並列交換(シリンジ2台で交換)する際は、旧
シリンジは、血圧が安定=薬液流量が安定するまで、0.1ml/hで残している事があります。
昇圧剤(カテコラミン)シリンジの交換方法とポイント!
昇圧剤(カテコラミン)の交換には、様々な方法があります。今回は、「1台ON/OFF法」と「2台同量法」、「2倍量法」に関して実際の交換方法についてお伝えしていきます。
昇圧剤(カテコラミン)の交換は、A圧などの持続的なモニタリングあれば良いですが、マンシェットなどでの血圧測定ではどうしてもタイムラグがあるので難しい場面があります。
この記事では、運営者(キャンタマ)の施設における昇圧剤(カテコラミン)シリンジの交換方法や、経験をもとに作成しています。自施設において昇圧剤(カテコラミン)シリンジ交換方法のマニュアル等がある際は、そちらを遵守していただければ幸いです。
1台ON/OFF法
1台ON/OFF法は、操作が簡便で投与速度を間違える可能性は低いです。しかし、早送りしないことでの機械的隙間による血圧低下や、スタートアップカーブ(投与流量の不安定)とトランペットカーブ(流量誤差)により交換後に血圧が低下する可能性が高いことがあります。
交換後は、患者さんのベッドサイドでしばらくは血圧のモニタリングを行い状態の変化を評価していくことが大切です。
2台同量法
旧シリンジが10ml/hで投与されている場合は、旧シリンジ+新シリンジの総投与量が10ml/hになるように旧シリンジの投与量を減量していく。
新シリンジを1ml/hで開始したのであれば、旧シリンジを9ml/hへ減量し総投与量が10ml/hになるようにします。
スタートアップカーブ(投与流量の不安定)とトランペットカーブ(流量誤差)の影響により血圧が安定するまでしばらく時間がかかります。投与流量によっても安定する時間は異なるのでしばらく旧シリンジを残して対応できるようにします。
交換終了後によく血圧が低下する場面に遭遇することがあるので、血圧が安定するまでは、キャンタマは旧シリンジを0.1ml/hで残して対応しています。
2台倍量法
「2倍量法」では、昇圧剤を倍量投与するため血圧が急上昇する可能性が高いです。ベッドサイドでの持続的に血圧の推移を観察していく必要があります。
さらにシリンジの昇圧剤(カテコラミン)濃度が濃ければ濃いほど急激に血圧が上昇する可能性が高いので注意が必要です。
まとめ
今回の記事では、昇圧剤(カテコラミン)の交換に関した記事をまとめてみました。
日々の臨床で、昇圧剤(カテコラミン)の交換に不安や恐怖心を抱いている方は多いのではないでしょうか。
今回の記事で、「なぜ昇圧剤(カテコラミン)交換時に血圧が下がるのか」や「昇圧剤(カテコラミン)の交換方法」を理解していただき、皆さんの臨床における不安が少しでも解消されればありがたい限りです。
臨床で少しでも役立つ【看護師における豆知識】を記事にして、みなさんの疑問や悩みを解決できるように記事をまとめていきたいと思います。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。