特に急性期領域でよく耳にするガンマ(γ)計算ですが、看護学校ではまず教えてもらわない知識の一つです。
でも実際に臨床では、耳にする事があるガンマ(γ)計算、、、。
臨床で働いている中で、このような疑問はありませんか?
・そもそもγ計算ってなに?
・その計算する必要ってあるの?
・じゃあ実際にどの様に臨床で使うの?
確かにγ計算って時々耳にすることがあるね。
実際に看護師の業務に直接関わることはないけど、共通認識として、覚えておいて損はない知識だね。
共通認識?
難しい計算とか本当に勘弁だよ、、、。
大丈夫!!
この記事を読み終わった頃には、
ガンマ計算ができるようになっていると思うよ。
・ガンマ(γ)計算の必要性
・ガンマ(γ)計算の方法
ガンマ(γ)とは?
γ=(μg/kg/min)
γとは、
体重1kgあたり1分あたりどのくらい薬材(μg)が投与されているかというものです。
はい??
・体重1kgあたり?
・1分あたり?
・μg?
臨床で聴き慣れない言葉ばかりで、
さっぱりわからんわ!!
だよね、、、。
なぜそんなに様々な単位が出てくるのか、、、。
それは、そもそものガンマ(γ)計算の必要性を理解するとわかると思うよ!
ガンマ(γ)計算の必要性とは?
γ=体重を考慮し時間あたり、どの程度の薬剤が投与されているかを表した単位
その理由として例えば、小柄な女性と、大柄な男性にそれぞれノルアドレナリンを投与するとします。
- キャン子(小柄な女性)
-
身長147cm 体重40kg
- キャンタマ(大柄な男性)
-
身長180cm 体重80kg
私の体重はそんなに軽くない、、、
キャンタマの体重もそんなに重くないけど、
わかりやすくするためにご協力を!
医師からこのような指示が出ました。
ノルアドレナリン2mg+生食48ml(合計50ml)の薬剤を下記の通り投与して下さい。
・キャン子さんには3ml/hで投与
・キャンタマさんには6ml/hで投与
なんで2人に投与される薬剤量が違うか
なんとなくキャン子はわかる?
私の方が体重が軽いからでしょう!
おっ!素晴らしい!
その通りだね。
体重が違えば薬剤の投与量が違うことは、臨床で働いているとなんとなく皆さんも感じている事と思います。
ですが、上記の投与量を比べた際に、体重を考慮してどのくらいの薬剤が入っているかわかりにくいと思います。
それを簡単に表したのが、ガンマ(γ)という単位になります。
γ=体重を考慮し時間あたり、どの程度の薬剤が投与されているかを表した単位
ノルアドレナリン2mg+生食48ml(合計50ml)の薬剤を下記の通り投与して下さい。
・キャン子さんには3ml/hで投与
・キャンタマさんには6ml/hで投与
じゃあ、この投与量を体重を考慮した
γで表すとしたらどうなるの?
計算すると、このような感じになるかな!
ノルアドレナリン2mg+生食48ml(合計50ml)の薬剤を下記の通り投与して下さい。
・キャン子さんには3ml/h=0.05γ
・キャンタマさんには6ml/h=0.05γ
パッと流量だけ見るとキャンタマには、
かなりの薬剤量が投与されていると感じるけど、
γで表せばキャン子と同量なんだとすぐ把握することができるね!
確かに、、、。
じゃあ、実際のγ計算ってどうやるの?
じゃあ、実際にγ計算をやってみよう!
ガンマ(γ)計算の方法
γ計算をするのに大切な計算式は、
1γ=0.06×体重(mg/h)
この数式を覚えておけば、γ計算は容易に行うことができると思います。
なぜこの数式が出てくるかは、下記のホームページにわかりやすく書いてありますので、ご参照いただければと思います。
では、
- キャン子(小柄な女性)
-
身長147cm 体重40kg
- キャンタマ(大柄な男性)
-
身長180cm 体重80kg
ノルアドレナリン2mg+生食48ml(合計50ml)の薬剤を下記の通り投与して下さい。
・キャン子さんには3ml/hで投与
・キャンタマさんには6ml/hで投与
上記の患者条件と薬剤投与例からγ計算を行っていきたいと思います。
キャン子=体重40kg
1γ=0.06×体重(mg/h)だから
1γ=0.06×40kg
1γ=2.4mg(mg/h)
ノルアドレナリン2mg+生食48ml(合計50ml)
1mlあたりノルアドレナリン2mg÷50ml(合計量)
1ml=0.04mg
ノルアドレナリン2mg+生食48ml(合計50ml)→1ml=0.04mg
キャン子さんには3ml/hで投与されているから
3ml×0.04=0.12mg/h
0.12mg/h
STEP1→1γ=2.4mg(mg/h)と
STEP3→○γ=0.12mg/h
1γ:○γ=2.4mg:0.12mg→内×内=外×外
2.4mg○γ=0.12mgγ
○γ=0.12÷2.4
○=0.05
キャン子に投与された薬剤量は0.05γ
なんか最後のSTEP4で内×内=外×外がわかりにくいけど、
なんとなくわかった気がする、、、。
考え方が少しだけわかりにくいけど、
理解すると計算自体は簡単だからすぐにできるようになるよ!
じゃあ大切なことをまとめておこう!
・1γ=0.06×体重(mg/h)
・対象患者の「1γは何mg/h 」を求める
・投与速度でどの程度薬剤が投与されているかを求める
症例から考える
では、γ計算の方法を理解したところで、症例に合わせて実際にγ計算をしてみましょう。
投与速度からγを求める
80代男性で体重:50kgの患者で尿路感染症で入院され抗生剤治療中。
「ちょっと頭がボーとする」と訴えありABCDEを評価した。
A:発語あり
B:RR24回/分、SPO2:96%、副雑音なし
C:HR100回/分、BP70代、四肢冷感なし。
D:GCS4/5/6
E:体温39.5度
医師よりこの患者さんに下記の薬剤投与を指示された。
ノルアドレナリン5mg+生食45ml(合計50ml)を3ml/hで開始した。
じゃあキャン子
この患者さんに投与されている薬剤の量は何γか計算してみよう!
体重も薬剤の濃度も違うじゃん!!
勘弁してよ!!
患者=体重50kg
1γ=0.06×体重(mg/h)だから
1γ=0.06×50kg
1γ=3mg(mg/h)
ノルアドレナリン5mg+生食45ml(合計50ml)
1mlあたりノルアドレナリン5mg÷50ml(合計量)
1ml=0.1mg
ノルアドレナリン5mg+生食45ml(合計50ml)→1ml=0.1mg
患者さんには3ml/hで投与されているから
3ml×0.1=0.3mg/h
0.3mg/h
STEP1→1γ=3mg(mg/h)と
STEP3→○γ=0.3mg/h
1γ:○γ=3mg:0.3mg→内×内=外×外
3mg○γ=0.3mgγ
○γ=0.3÷3
○=0.1
患者さんに投与された薬剤量は0.1γ
わかった!!
ノルアドレナリンが0.1γだ!!
正解!!
じゃあ、次の症例に行ってみよう!!
指示されたγから投与速度を求める
80代女性で体重:30kgの患者で誤嚥性肺炎で入院され抗生剤治療中。
「ちょっと頭がボーとする」と訴えありABCDEを評価した。
A:発語あり
B:RR25回/分、SPO2:96%、副雑音なし
C:HR120回/分、BP70代、四肢冷感なし。
D:GCS4/5/6
E:体温38.5度
医師よりこの患者さんに下記の薬剤投与を指示された。
ノルアドレナリン3mg+生食47ml(合計50ml)を0.1γで開始。
今まではγを求めていたけど、
今度は投与速度、、、。
ヤバイ、、、。
求める答えは違うけど、
考え方は一緒だからSTEPに沿って考えていこう!
患者=体重30kg
1γ=0.06×体重(mg/h)だから
1γ=0.06×30kg
1γ=1.8mg(mg/h)
STEP1→1γ=1.8mg(mg/h)
1γ:0.1γ=1.8mg:○mg→内×内=外×外
○=0.18mg
患者さんに投与するべき薬剤量は0.18mg/h
ノルアドレナリン3mg+生食47ml(合計50ml)
1mlあたりノルアドレナリン3mg÷50ml(合計量)
1ml=0.06mg
STEP2→投与するべき薬剤量は0.18mg/h
STEP3→1ml=0.06mg
0.18mg÷0.06mg=3
3ml/hで投与。
ノルアドレナリン3mg+生食47ml(合計50ml)を
3ml/hで投与すればいいんだ!!
素晴らしい!!
これでγ計算は完璧だね!
今回の症例では、感染症から敗血症へ移行したことが考えられるような症例を行いました。
違う記事において、集中治療室で敗血症を疑うためのツールとして、
「qSOFA」をご紹介しております。気になる方は、下記の記事からご参照ください。
まとめ
今回はγ計算について、皆さんにご紹介いたしました。
リハビリで離床を行う際など、患者さんに投与されているノルアドレナリンの量って多いのか少ないのかなどを把握する上で、γという単位は非常に役立ちます。
また、医師の記録などでも、「ノルアドレナリン〇〇γ投与中」などの記録を目にすることもあると思います。
γという単位があるということを共通認識として覚えておくと、臨床で役立つ時が来るかもしれません。
最後まで計算づくしでしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後も【看護師の豆知識】の記事を増やしていきますので、読んでいただければ幸いです。